研究紹介

RESEARCH

( OUTLINE )

固体の中には、私たちの直感を裏切るような奇妙で美しい量子現象が隠されています。量子物性論研究室では、物性物理学の広範な領域において、既存の理論では説明しきれない現象に対し、独創的な着眼点からその本質を解明しています。

私たちの研究スタイルは、流行を追うことではありません。半世紀にわたり未解決であった量子現象の完全な定式化や、生物学の「チューリング理論」を原子スケールの極微の世界へ導入するといった、分野の境界を揺るがす挑戦にあります。

対象とする物質系は、半導体・半金属から超伝導体、磁性体、ナノ薄膜まで多岐にわたります。「紙と鉛筆」による緻密な理論構築と、コンピュータを駆使した現実物質のシミュレーションを両輪として、物質が示す多種多様な個性を、普遍的な物理法則の物語として描き出します。

  1. RESEARCH01

    DIRAC ELECTRONS AND SPIN TRANSPORT

    ディラック電子とスピン輸送

    相対論的量子力学の帰結である「スピン軌道結合」が強い場合、結晶中の電子の運動がディラック電子として記述できる場合があります。その代表物質がビスマスです。近年、その他にもディラック電子が様々な物質で見つかり、活発に研究されています。

    特に、スピン軌道結合が新しいスピン輸送現象を生み出すことから、スピントロニクスの分野で高い関心が持たれています。

  2. RESEARCH02

    STRONG MAGNETIC FIELD PHYSICS AND THE QUANTUM LIMIT

    強磁場物性と量子極限

    磁場は身近でありながら、とても魅惑的な研究対象です。量子ホール効果や量子振動など、磁場をかけることで新奇現象が現れるだけでなく、磁場を使って物質の量子力学的な性質を調べることもできます。

    量子極限とは、非常に強い磁場を加えることで、電子の量子的な性質が大きく変化するような領域を意味します。これまで量子極限は未踏の地とされてきたのですが、近年実験技術や物質開発の進展により、手の届く領域になってきました。

    私たちは、そのような磁場が生む摩訶不思議な世界を“理論”という地図を片手に探検しています。

  3. RESEARCH03

    NANO-FILMS AND THEORY OF THE STRUCTURE OF MATTER

    ナノ薄膜と物質構造論

    現代エレクトロニクスは微細加工によって支えられています。電子デバイスの多くはナノスケールの薄膜で作られています。物質をナノスケールまで小さくすると量子効果が顕著になり、新しい性質が生まれます。そればかりか、ナノスケールにすると、物質の構造まで変わってしまうことすらあるのです。

    そもそも、結晶の構造はどのようにして決まっているのでしょう?実はこの疑問、現代物理学でも意外なほどよく分かっていない観点なんです。これまで永らく置き去りにされた古くて新しい問題を、現代的なアプローチで解き明かします。

  4. RESEARCH04

    NONEQUILIBRIUM NONLINEARITY AND PATTERN FORMATION

    非平衡非線形とパターン形成

    キリンやシマウマ、熱帯魚の模様はどのようにして生まれているのでしょうか。それを解き明かしたのが、著名な数学者アラン・チューリングです。現在、チューリングが見つけたメカニズムによる生物の模様は「チューリング・パターン」とよばれています。

    その生物学におけるチューリング・パターンが、原子の世界でも形成されることを、私たちは世界で初めて見いだしました。

    パターン形成の問題は、非平衡非線形物理学と密接に関わっています。物性物理学が対象とするミクロな世界におけるパターン形成を、量子世界のミクロな視点から解き明かしたい。そんな夢を抱いて研究を進めています。

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